EOS-1D X の解像感は低いのか?

初めて EOS-1D X で撮影した画像を見たとき、あまりの解像感の悪さに思わず「なんじゃこりゃ~!」って叫んでしまった。木の葉のような解像感が求められる被写体が、塗り絵のようにつぶれているではないですか!

私が考える「解像感が高い」とは、風景写真で言えば遠景の「松の葉」や「木の葉」などがきちんと分離して写し出されている状態を言います。最近のカメラはノイズ処理の副作用のためか、空間周波数の高い部分がぼやけてしまうようになりました。これにより画像が「甘く」みえます。この問題は単に画素数を増やすだけでは解決しないと思います。

このあたり、前モデルの EOS-1Ds Mark III の方がきれいに分離します。もっとも、等倍で見た場合になりますけど。どちらにせよ、評価はあくまで鑑賞する「媒体」と「サイズ」で行う必要があるので、等倍の評価が全てではありませんが。

ただ、解像感の高い写真を撮るには、カメラやレンズの性能だけではなく、被写体ブレやカメラブレ対策、撮影条件(光の状態・風・湿度)などさまざまな要素が関係してきますので、トータル的に考えると EOS-1D X は高感度に強いので「絞り」や「シャッタースピード」に余裕があり、結果として解像感の高い写真が撮れると思います。また EOS-1D X はピントの精度も良く、ライブビューによるピント確認もしやすい。

でも、解像感が出ていない・・・

といったことで、今回はいろいろと調べてみた結果、カメラ本体だけの問題では無いことが分かってきました。結論を先に申し上げますと RAW 現像処理のアルゴリズムに問題があったのです。

検証するにあたり、DPP と Lightroom 4 で現像した画像を使って評価をします。
以下に画像を掲載します。

■左が DPP で、右が Lightroom 4 で現像
2013.06.18_1.jpg


こうして見ると、 DPP は線の太い輪郭強調された仕上がりになっています。ぱっと見た目には、メリハリがあり良い印象を受けます。この設定は人物や建築物には有効だと思いますが、風景写真では微妙です。はっきり言って使えない。

しかし、現像ソフトを Lightroom 4 に変えて、仕上げに Photoshop でスマートシャープをかけますと解像感のある写真になります。そこで、試しに DPP のシャープネスを「0」にして現像し、Photoshop のスマートシャープ(ぼかし「レンズ」)をかけるとかなり改善します。前モデルの EOS-1Ds Mark III ほどではないにせよ、十分許容範囲内です。

つまりカメラの問題ではなく、DPP の現像処理のアルゴリズムの問題だということですね。

余談ですが、Photoshop のスマートシャープは、アンシャープマスクに比べて、より正確に輪郭を抽出し、自然な感じで輪郭強調をしてくれる機能なので、これを積極的に使いたいですね。もし、シャープネスを「0」で現像する場合は、このスマートシャープを強くかけます。さらにもっと解像感がほしい方は、スマートシャープ(ぼかし「ガウス」)を弱く2重にかける方法もあります。お試しあれ。

あと、良く比較される Nikon D800 ですが、単純な比較では D800 の方が解像感はあります。これは EOS-1D X を100%表示にして、D800 を同じサイズ(約50%表示)で画面で比較した場合の話です。画面の100%表示で評価していては、いくら画素数をアップしてもいたちごっこですよね。逆に 3,600万画素もあると、レンズやカメラブレなどの影響も大きいので評価はよりシビアになると思われます。

まぁ Nikon D800 は、例えばトリミング前提とか、大きなサイズでプリントするなど、画素数が必要な場合に有効だと思います。つまり、本当の高品質を求めるならば、センサーサイズの大きいカメラが必要だと思います。

さて結論ですが、EOS-1D X は前モデルに比べて若干甘くはなったが、後処理を工夫することでかなり改善することがわかりました。できれば市販の RAW 現像ソフトをおすすめします。解像感の向上以外にも、ハイライトやシャドーの補正、色の変換などなど、さまざまなメリットがあります。ちなみに、おすすめの現像ソフトは Lightroom と Capture One Pro です。

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