■カラーマネージメントとは?
 
 ◇カラーマッチングとカラーマネージメントの違い
カラーマッチングとは、単に色合わせのことを言います。例えば、「モニタに表示されている色とプリントされた色を合わせる」と言ったことです。個人の方でプリントをメインに行っている場合はこれで問題ありません。

しかし、仕事で「色」を合わせるとなると話は違ってきます。例えばカメラマンからの素材(デジタルカメラやフィルム、スキャナなど)の入力からはじまり、デザイナーや印刷業者など多くの人の手を介して作業が進められます。このような場合に、できるだけ製作者の意図する色が、最後の印刷物まで保たれるようにする「仕組み全体」のことをカラーマネージメントと呼びます。これにはソフトやハードなどいろいろなものが含まれます。

では、個人だからといってカラーマネージメントが必要ないか?というと、そうばかりもいえません。実は、モニタとプリンタの色合わせひとつとってもなかなかうまくいかないのが現実です。そこで、今回これらのカラーマネージメントを楽して正確に行うことのできるツールをご紹介いたします。
 
 

■MonacoEZcolor の活用法
 
 ◇MonacoEZcolor 2.5 の実力 
このたび MonacoEZcolor を 2.5 にバージョンアップしました。
インストール直後は「あれっ、バージョンアップしたの?」って思ったくらい、何も変わっていませんでした(笑)。しかし、良く見ると細かい部分で使いやすくなっています。なんといっても、プリンタプロファイルを作成するときのクリッピング作業が無くなりました。この作業って結構めんどくさいんですよね。これが画面上にまったく出てこなくなりました。多分、ソフトで認識できない場合のみでてくるのでしょう。それと新しい機能として IT8 の参照ファイル(MONxxxx.xx.xx)の確認が、スキャニングした画像から表示されるようになりました。(でも選択は相変わらず必要ですが)

しかし、今回はプリンタプロファイルもさることながら、モニタプロファイルの作成機能に力が入っているようです。残念ながら今回はセンサーを購入しなかったので、レポートは後日ということでごめんなさい。ですが、マニュアルを読むと私が以前から問題視していたセンサーの取り外しのやりにくい点と、コントラストの調整精度が向上したようです。特に、このコントラストの精度がでないとプリントを評価できないと考えていたので、ある意味でようやく使えるセンサーになったかなぁって思います。ちなみに私は相変わらず EIZO の ErgoColor C100 を使っています。

ここでひとつ注意してほしいことは、「環境光」です。自分自身もこの影響度については驚いていますが、例えば蛍光灯を「演色AAAの蛍光灯」にすることで、評価が随分変わってきます。プリント結果を評価するにはこれまた必須といっても良い物です。

 ■ナショナル リアルクス
 


さて、問題の精度ですが…

私の持っているオリジナルチャートを使ってプリントしてみたところ、シャドー側のコントラストが随分改善されていました。 EPSON のプリンタドライバによる「ICM」や MonacoEZcolor 2.1 ではコントラストが強すぎるため、スタジオ撮影のポートレートなどでは人の髪の毛が不自然につぶれてしまい、そのままでは使えませんでした、しかし、今回はその必要は無さそうです。また、グレースケールの色もより自然になっています。特に「10〜13」の赤みが随分改善されています。それに伴ってか、全般的に赤の飽和が抑えられているようです。


下記のサンプルは MonacoEZcolor で作成したプロファイルをつかってプリントしたものを、フラットスキャナでスキャニングしました。プロファイルの編集はしていません。用紙はPM写真用紙です。

 ■MonacoEZcolor 2.1
 

 ■MonacoEZcolor 2.5
 

MonacoEZcolor 2.1 225 140 40
MonacoEZcolor 2.5 225 138 45


下記の EPSON の ICM によるプリントでは髪の毛がベタになってしまい、しかも頭の影との境目が不自然ですが、MonacoEZcolor によるプリントでは、かなり自然な感じになります。


 ■EOSON プリンタドライバ(ICM)
 

 ■MonacoEZcolor 2.5(プリンタプロファイルの編集→色を補正しました)
 


総合的にみると、モニタのキャリブレーションでコントラストの調整精度が向上したことと、プリンタプロファイルのコントラストが改善されたことが非常に大きいように感じました。あとはマッピングの精度向上と赤の飽和の改善などが上げられます。ただ、プリンタプロファイルだけを見れば、2.1 を使いこなしている方であれば、別段バージョンアップの必要は無いように感じましたが、MonacoEZcolor を今後も使っていく場合、今回のバージョンアップをしておかないと次のバージョンアップの対象にならない可能性があります。このあたり、もう少しゆるくしてほしいですね。

それと、今回新しいセンサーが発売になりましたが、できれば特別価格を出してくれれば購入したんですがねぇ。ついでにいうと、バージョンアップでは新しい「IT8」も付かなかった…。前回のバージョンアップでは付いていたのになぁ。ちょっと不満!

しかし、総合的にみてこれだけの価格でこの効果は絶大なので、もしお持ちで無い方はご検討されると良いかと思います。その効果を試して見たい方のために、私の作成したプロファイルをダウンロードできるようにしてあります。興味のある方は、注意事項を良くお読みになってご利用ください。

 
 ◇MonacoEZcolor 2.1 とは?
MonacoEZcolor は、基本ソフトである「MonacoEZcolor 2.1J」と、モニタを計測するためのセンサーである「MonacoSensor」の2つの製品から成り立っています。センサーは必ずしも必要ないですが、より正確なカラーマッチングやカラーマネージメントを行うならば必須のアイテムでしょう。

さて、この製品はモニタのキャリブレーション機能、スキャナ、デジカメ、プリンタなどのプロファイルの作成、及びプリンタプロファイルのエディット機能(編集機能)が備わっています。また、Photoshop などのカラーマネージメント対応ソフトが無くても、プロファイルを使いプリントを行うことができます。また MonacoEZcolor では、それぞれの機器の色域を最大限に発揮させるようにプロファイルを作成するようです。

私がテストしている環境では、モニタやプリンタプロファイルの精度はかなり良いです。ただ、このように書くと、ものすごく期待されて後からがっかりする方もいらっしゃるようなので、あくまで「まあまあの線」と思っていただければ間違い無いと思います。

また、この「MonacoSensor」ですが、以前から私が指摘していた部分についての改善はまだなされていないようです。実はこのセンサー、もともと吸盤でモニタにくっつけているのですが、これをはがすときに突起物が無いために剥がしにくく、ややもするとセンサーが剥がれず、自分の爪の方が剥がれてしまいます(笑)。今回も仕様に変更が無いようなので、きっと変わっていないんでしょうね?購入予定の方は十分注意してください(笑)
 
    → 商品の詳細はこちらをどうぞ!
 
 
 ◇EPSON 「PM写真用紙」 のプロファイル作成における裏技!
MonacoEZcolor 2.1J を少し使ってみた感想としては、1.6Jよりも機能面の強化や精度の向上が感じられました。が、1.6Jの問題点としていました「PM写真用紙」のような光沢紙でのマッチングがうまくいかない問題点は、残念ながら改善されていませんでした。しかし、ひょんなことから、フラットスキャナを使わずにデジタルカメラ(EOS D30)で撮影し、これでプロファイルの生成を行ったら… うまくいっちゃいました。結果もいい感じです。

この方法では、フラットスキャナよりも色域が狭い?かも知れないデジタルカメラを使うわけですが、これも考えようによっては、そのデジタルカメラの領域を最大限に発揮させ、さらにそのデジカメの領域に、お手持ちのプリンタの領域を合わせることになり、まさに、そのデジタルカメラの特性に合ったプリンタプロファイルが作成されるのではないでしょうか?つまり、一石三鳥くらいの意味があると思われます。

ただし、この方法でプロファイルを作成する場合次のことに注意してください。
一般的に光沢紙など、白く光沢感をだす用紙には、蛍光剤は含まれている場合があります。この場合はフラッシュなどをあてると、紫外線を反射する特性があり、何も対策しないと全体的に青っぽい画像になってしまいます。ですので、この「紫外線反射」対策として、シャープカットフィルタ(SC40)をつけて撮影をしてください。
 
    → サンプル画面へ ← サンプル画像のロードに時間がかかると思います。
 
 
 ◇Canon EOS D30 のプロファイル作成!
前バージョンでは「RAW」からのリニアで現像された画像でしかプロファイルの作成ができませんでした(エラーとなってしまう)が、今回からは通常ファイルからも作成ができます。(ファイルタイプは「TIFF」です)

プロファイルの作成にあたっては、以下のことに注意しなければなりません。

 @撮影する光源別にマニュアルWBをとり、それから「IT8」の撮影を行わなければならない。
   光源による違いは意外と大きいことが分かっています。

 A「IT8」は銀塩プリントなので、コダックのグレースケール等に比べ反射しやすいので、撮影
   時にはそのセッティングに十分注意が必要です。

 B「IT8」は太陽光の熱で変形しやすいので、撮影はすばやく行うことが大切です。
   また、あらかじめグレーボードなどに貼り付けておくとすばやい撮影が行えます。

以上のことに注意を払い、撮影をして下さい。
また、スキャナでプロファイルを作成する場合に比べて、「IT8」が曲がったり変形した状態で撮影されることがあります。この場合は、Photoshop にて「変形」処理を施してください。
 
 

■Photoshop 6.0 での印刷設定について
 
 ◇Photoshop 6.0 から プリンタに出力する場合の設定方法
今回のサンプルは EPSON PM-3300C を例にしていますが、基本的には EPSON のプリンタであれば同じような設定項目があるので、応用が利くと思われます。それぞれのプリンタでトライしてみてください。なお、今回は「ICM」による設定方法を解説いたしますが、引き続き追加していきます。
 
    → 設定画面へ
 
 

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