Velvia 調 シミュレーション (Photoshop CS 版)
先般より、Photoshop CS をメインで使うべく、フィルム色のコントロールについて研究を始めました。目標とするシミュレーションの色は FinePix S3 Pro の「Velvia 調」と「NS160 調」の2つです。
手順として、まず基準の光源を決めます。私の場合は「太陽光」です。そうしたら次にホワイトバランスを透過光+マニュアルWBにて行い、マクベスのカラーチェッカーを FinePix S3 Pro の「Velvia 調」と「NS160 調」で撮影します。このとき、太陽光がカラーチャートに対して45度の角度であたるように位置を調整します。もちろん、カラーチャートとカメラは平面を保ちます。続いて、対象となる EOS 20D で同じくマクベスのカラーチャートを撮影して準備OK。
FinePix S3 Pro の「Velvia 調」と「NS160 調」で撮影した画像を基準に、EOS 20D の色を Photoshop を使い補正していきます。このとき、カラーチャートの「赤・緑・青」を調整レイヤーの「色相・彩度」と「HSB」を使ってマクベスのカラーチャートの各数値を合わせ、色を合わせていきます。完全にシミュレーションすることは難しいのですが、雰囲気をだすことはできます。このあたり、Camera Raw の機能が Capture One PRO くらいの機能を持ってくれるともっと追い込めるんですけどね。
補足ですが、Camera Raw でのコツはコントラストとシャドーをうまく使いシャドーをつぶさないように最適なコントラストを作ることです。また、カメラや撮影条件にもよりまずが、シャドー部に若干のマゼンタがのる場合があるようなので、その場合は「シャドーの色かぶり」を使って調整するとうまくできます。
仕上げは、シミュレーション(調整)した結果を Camera Raw に設定して完成です。このシミュレーションもすべての写真に適応するわけではありません。特にコントラストは撮影状況により変わるので、写真ごとに微調整が必要になります。
さて、今回の設定は FinePix S3 Pro 用と EOS-1Ds 用の2つを作りましたが(正確にはカメラがこれしかないので)、この2つの画像を比較しただけでも、かなりコントラストなどに違いがあり、同じ Camera Raw からの現像でもカメラ別に色を調整しなければならないことがわかりました。
今回作成した「Velvia 調」と「NS160 調」は被写体や撮影条件により使い分けないと、単純に「Velvia 調」を使うとコントラストが高すぎる場合もあります。また、太陽光ではなく、室内におけるストロボ撮影の場合も別途つくらなければならないと思います。
今回はまだ研究段階なので、詳しいパラメータは公開しませんが、サンプル画像をアップしてみます。興味のある方はどうぞ。
■CameraRaw「ノーマル」 | ■CameraRaw「NS160調」 | ■CameraRaw「Velvia調」 |
データ:EOS-1Ds/EF 24-70mm F2.8 L/PL フィルター使用
いつも楽しく拝見しております。素晴らしいシュミレーションをありがとうございました。
1.私の場合、EOS-20D使用でPhotoshop CSのCamera Rawそのま までは不満があるので、特にベルビア調とは意識せずに、標準色を目指して色彩の調整をしております。
2.カラーチャートは自作です。「ディジタルカメラの完璧カラーマッチング」(小山壮二ほか・グラフィック社刊・86ページ参照)を以前から愛用しています。それと自作のグレーカードです。
3.まず使用レンズによって色の違いがあることと、太陽光とストロボ 光でも違います。CANONレンズおよびツアイスレンズを参考に色決めをしています。
4.各レンズ毎に同一条件で撮影したカラーチャートをつくり、Photoshop CSのCamera Raw現像と、Silkypixのそれとを比較しながら、標準としてCANONのLレンズおよびS-Planar60mm2.8を参考にして、色相、彩度などを、Camera Rawで直接カットアンドトライで決定しています。
5.これによりEF-Sレンズや、他社のソフトレンズなど色彩と現像のあがりに不満があったものが解消されました。
6.結果として10D、20D用、各レンズ別にパラメータを作成保存しています。また、レンズ個々の色滲み(空の電線などに発生)についても、Camera Rawで調整して重宝しております
大石勲さん、こんにちは。
雑誌等では EOS 20D の評価はかなり良いようですが、まだ写真的な色合いは不十分なのでしょうか?
私も EOS-1Ds MKII をどうしようか迷ったのですが、最終は FinePix S3 Pro を購入してよかったと思っています。
なにせ軽くてコンパクト(EOS-1Ds と比べてですが)で、しかも発色がフィルム調ですから。
ただ、一度WBをはずすと他のRAWデータより厄介ですが…
まぁ、こうやって色をいじることも楽しいですよね。
y-komano さま
銀塩はRVPを用いた関係で、デジカメもそれに近づけるべく、画素数の少ない時代にはPhotoshopでカメラにあわせたフィルターづくりでしのいできました。
EOS 20Dの色合いは何だかさらっとしたように感じられ、JPEGでは
EPSONのAdobe Photoshop用 PRINT Image Matching II プラグインがかなり良いようですが、銀塩の色調を念頭におくとRAW現像を選ぶほかはありませんでした。
RAW現像ではPhotoshop CSのCamera Rawの色調補正を少し触ると
色の抜けが良くなることがわかり、これを何とか使いこなそうと思案めぐらす中、SILKYPIXの色合の正確さをベースに色決めしよと思ったのです。この度の経験からレンズによってRGB別の色相の回転が認められ、これを補正することにより、各レンズの色調をある程度そろえることが可能になりました。
EOS 20DのAWBはかなり正確ですが、周囲の色彩環境に引きずられることもあるので、グレーカードは欠かせません。
私もFinePix S3 Proを候補にあげたこともありますが、RAW現像のことを考え現状に至っております。
貴兄のPhotoshopでシュミレーションして、Camera Rawにフィードバックする方法は一つの見識かと思い、また楽しみが増えました。
大石勲 さん、こんにちは。
EOS 20D は、どちらかというと「あっさり系」の発色なんですね。
まったく別の話なんですが、私が考える Camera Raw にほしい機能として、本体にある「調整レイヤー」がほしいんですよ。
特に「色相・彩度」と、名称を忘れたのですが、それらの効果を「通常」とか「ソフトライト」で切り替える機能がほしいですね。
「トーンカーブ」でも、彩度が変わってしまうので、できれば「明度」のみにかけたいんです。
あっ、それとカメラプロファイルとして、i1 で作成したプロファイルを選択できるようになると、もっとうれしいですね。
y-komano さま
私も同感です。PhotoshopCS2では複数レイヤーの同時操作も可能とか。Camera Raw3.0はトーンカーブが追加されますが、更に色相・彩度およびレベル補正が追加されれば鬼に金棒となりますが。各社の理想のRAWコンバーターを汎用性に変える困難の中、更なる発展を期待するものです。