カラーマネージメントの基本

以前、掲示板でご紹介したカラーマネージメントの勉強会のまとめを引っ張ってきました。
講師はあの「小山壮二」氏です。かなり重要なポイントが沢山あったのでここでもう一度確認の意味でピックアップしてみました。

■カラーマネージメント
カラーマネージメントを日本語的に訳せば「色彩の伝達手段」である。例えば「ガモットの違うデバイス間同士の色データを伝達する」といった言い方をすると分かりやすい。また、プロファイルは正確に色彩を伝達するものであり、そこに色を加えてはいけない。

■D50光源
「D50」と「5000k」はまったく別物である。D50とは自然界の光(太陽光)を人間の感覚を基準にサンプリングして決めているもので、5000kはある黒体を熱していった場合の色の変化を基準に決めているものである。よってD50光源の方が5000kに比べて若干緑っぽくなる。ここで大事なことは、基準がD50であること。これは人間のサンプリングの結果から自然に導きだされた値である。なので、印刷物にしてもモニタにしてもまずは人間の目をD50光源でキャリブレートすることから始まる。そうしなければ色の正しい評価はできない。

■デジタル写真はまず元画像の正しい評価から
観察する力が大切。後から昔の写真を見たとき、「あれ」って思うことが良くあるが、これはその観察力に問題があった場合が多い。つまり元の画像の出来が悪いと良い写真にはならない。ただし、意図的に色をいじった場合はその限りではない。大切なのは、そのときの色の状態を正しく意識して、おかしい色は意図的に変えることである。

■ホワイトバランス
グレーバランスとホワイトバランスは根本的に考え方が違う。
そもそもグレーバランスとは、機械的にグレーのバランスをとることである。言い換えると無彩色のバランスを整えることである。また、ホワイトバランスとは写真的なバランスのことである。例えば夕方は赤いとか、日陰は青いとか、そういった不陰気で調整するもので、これは一律にカメラ側で処理できるものではない。(人間的な感覚で決めるものである)

■色彩バランス
色の組合せによるバランスをとることが大切。例えば肌色をとってみた場合、ハイライト、中間、シャドーでそれぞれ彩度と明度が違う。特にハイライトと中間の色が接近していると人肌の感じが出ない。また、りんごとバナナを並べて撮影した場合、普通はりんごの方が鮮やかに見えるはずだが、カメラによってはバナナの方が鮮やかになるものもあるので、こういったバランスをとることが大切。

■カラーバランス
これは Photoshop のカラーバランスと同じ意味。

■シャープネス
基本的には拡大した画像は「弱く」、逆に縮小した画像は「強く」かけるのが普通。
当然、四つ切とL版ではシャープネスの強さを変えなければならない。

■LCDのキャリブレーションでの注意点
LCDの場合、明るさの調整はバックライトの明るさを調整するだけなので、明るさを上げていくと、ハイライトが255をオーバーしてしまう。そういった状態でキャリブレーションをしても、色が飛んでいては正確なキャリブレーションは望めない。つまりLCDはハイライトに弱いということ。

CRTは電子ビームの出力を制御しているため、明るさをいくら上げていってもハイライトは250くらいより上に上がらないようになっている。つまりハイライトに強い。ただし、シャドーについてはLCDの方が強く、CRTの方が弱い。

また、キャリブレーションツールで調整する前に、ある程度ハード的に明るさや色の微調整をしてからツールでキャリブレーションをとった方がトーンジャンプが起きにくい。ただし、今のところこのようなサポート機能がついているのはスパイダープロのみ。

また、OPTIX を使う場合は USB の接続を極力パソコン本体から取ること。そうしないと電源が安定しないため、正確なプロファイルの作成ができない場合がある。

■デジタル写真におけるライティング
基本的にデジタルのライティングは最低2つのライティングで明暗を作る。一灯では良い色はでない。また、デジタルの露出はハイライト基準で絶対に飛ばないように撮影し、シャドーはあとからトーンカーブを少しいじって「作る」のが基本。

■モアレ
デジタルでは避けて通れないものである。が、偽色や色モアレは対処できる。その判断は Photoshop で「Lab」カラーに変換して、「L」チャンネルを見る。ここでモアレが発生している場合はどうしようもない。ただ、これはほんのわずかに被写体との距離を変えて撮影することにより回避が可能である。

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    カラーマネージメントの基本” に対して1件のコメントがあります。

    1. Chochi より:

      私もカラーマネージメントを色々試してきました。
      いつも悩むところがモニタ色温度です。
      5000kに設定すると画面が赤くなってしまい、使いずら
      くなってしまいます。現在は部屋の照明を5500kにし、
      画面を6000kにして使っています。
      私の場合は成る可く一般の人が使っている光源で合わ
      せる方がよいと感じでいます。(どうでしょうか?)
      (D50で合わせると赤く感じないのですか?それと
      D50の場合も部屋の照明は、5000kの物を使えば良いですか?)
      モニタのキャリブレーションで書かれていますが、
      キャリブレーション前の調整は可成り大事ですね。
      OPTIXproは旧型と違って、測定前にモニタの色調整が
      出来る様になり、CRTでも可成り精度の高いキャリが
      可能になりました。
      測定用バッチも99に増えていますし、今までの物は?
      と思う位違っています。

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