インクジェットプリンタのガモット(色域)は本当に広い?
プリンタプロファイルを調べているうちに、面白いことがわかってきたのでご報告いたします。
よくインクジェットプリンタのカタログで、「sRGB を超えた色域…」 なんていう宣伝を目にしますが、これって実は鵜呑みにできないんですよね。色域って立体的に見なければならないんです。
でも、通常は平面で見ています。ということは、何かが抜けているんですよ。インクジェットプリンタの場合、CIE(x,y)で表現されていると思われますが、これには明度(L)があるんです。たぶん明度(L)=50 くらいの値を使って比較していると思われます。この明度を変えてみるとその評価も変わってきます。とりあえず下の図を見てください。
※i1 Photo、Eye-One Match 3.0.1 にて各プロファイルを作成し、ProfileEditor にて評価
※画像はクリックすると大きく表示できます
■sRGB(青色) と PX-G900(黄色) L=50 と L=12
■sRGB(青色) と T760(黄色) L=50 と L=12
■sRGB(青色) と フロンティア(黄色) L=50 と L=12
PX-G900 の場合、L=50 では、確かにグリーンの色域が広いのですが、L=12 で見るとずいぶん小さくなってしまいます。これはL=80 でも同様の傾向になります。
また、色域が狭いといわれているモニタ(EIZO T760)は、プロファイルを見てみると sRGB とほぼ同じ色域なんですよね。ですので、一部の色域を除けばモニタの方がインクジェットプリンタよりも色域は広いといえます。また、フロンティアは全体的に狭く、sRGB の色域内に収まっていることがわかります。
とはいえ、色域が狭いからといって、色が良くないともいえないんでしょうね?
たぶん、インクジェットプリンタは人間の目に見える範囲に的を絞った結果がこれなんだと思います。
まぁ、ここで重要なことは、もともと機械が持っている特性を知るってことなんですよね。これを知っていないと、どうやってもその機械で出ない色を出そうとムキになっても仕方が無いんです。そういったことを理解して使いこなすことが重要なんですよね。そうしないと画像処理やプリントではまってしまいます。