HDRによる「リアリティの高い風景写真」の作り方
今さら HDR 処理についての説明は必要ないと思いますが、簡単に言ってしまえば露出の違う写真を合成して、ダイナミックレンジの広い写真を作る方法と言えます。
この手のソフトは多数あり Photoshop でも標準機能として実装していますが、今の所この Photomatix Pro 4 が一番リアリティの高い自然な仕上りになると思います。
また、組み合わせる RAW 現像ソフトは Lightroom の「4」もしくは「5」がベストです。それ以外のバージョンではパラメータの微調整が必要ですし、他の RAW 現像ソフトでは仕上がり感があまり良くない。(やり方が悪いだけかも知れませんが・・・)
■HDRsoft
http://www.hdrsoft.com/jp/
左が Lightroom 5 の初期設定による画像で、右が Lightroom 5 + Photomatix Pro 4 の画像です。
※滝が白く飛ばず、岩の影も部分もあまり潰れずに残っています
最終的には好みがあるので、ご自身で気に入ったソフトをお使いいただければ良いと思いますが、Photomatix Pro 4 は Lightroom 5 との連携(画像の受け渡し)も優れているので、ワークフローがシンプルになります。
あっ、それと最近ではカメラでも同様の機能がありますが、基本風景写真ではマルチショットによる HDR は被写体ブレの関係からおすすめできません。そう言った意味では、今回のやり方は1枚の RAW データから HDR 処理を行うってことが最大の特徴かも知れませんね。
Photomatix Pro に関しては以前からご紹介していましたが、今回は詳しく手順を公開したいと思います。
ちなみに、過去の記事は以下の通りです。
■デジタル風景写真の「質感」をポジフィルムに近づける
https://www.art-photo.jp/blog/archives/2009/02/post-92.html
■Canon EOS-1Ds の風景写真現像術
https://www.art-photo.jp/blog/archives/2009/11/eos-1ds.html
まず、必要なソフトですが「Photoshop」と「Lightroom 5」と「Photomatix Pro 4」の3つが必要です。
また、カメラはキヤノン系でしかテストをしていないので、他のメーカーでは同じような効果が得られない場合もありますので、ご承知おきください。
では早速、詳しい手順をご紹介しましょう。
1. EOS-1D X にて RAW で撮影する
2. Lightroom 5 にて目的の画像の色温度と露出を微調整する
3. Lightroom 5 の「仮想コピーを作成」機能を使い2枚コピーを作る
4. コピーした画像の露出をそれぞれ「+1」と「-1」になるよう調整する(±2でも良い)
ここまでで準備はOKです。次に、
5. 今ほど作成した画像3枚を選択する
6. メニューの「ファイル」→「プラグインエクストラ」→「Export to Photomatix Pro …」を選ぶ
そうすると「エクスポートされたファイルを処理するための設定」画面が表示されます。
全てのチェックを外し「エクスポート」ボタンを押します。そうすると3枚の現像が行われ以下のような画面が出てきます。ちなみに、ここでは表示されている Exif データ(シャッタースピード・絞り・ISO)は変わらないのですが Lightroom 5 にて露出を変更しているので、EV 値のみ違いがあります。
「OK」ボタンを押すと HDR 合成が行われ Photomatix Pro 4 の画面が呼び出されます。
あとは、好みでパラメータを調整して「処理を実行」すれば完成です。
ちなみに、このときのポイントは以下の2つです。
1. プリセットの「写真」を選択する
2. 明るさは「輝度」で調整する
最後にメニューの「ファイル」→「名前を付けて保存」でファイルを保存します。
このとき、画面の下に「保存したイメージを開く」で Photoshop を指定しておくと便利です。
と、こんな感じで処理を行うことで、リアリティのある風景写真の完成です。
この Photomatix Pro 4 で HDR 処理を行うと、ダイナミックレンジを確保しながらコントラストを強めることができ、結果として彩度も上がります。さらに、ハイライトが飛びにくいので、PL フィルタ(反射を軽減したような)をかけたような効果があります。
EOS-1D 系は、もともと諧調重視の絵作りなので、コントラストを強める必要がありますが、Photomatix Pro 4 を使えばこれらのことが簡単に行えます。
あと、2つほどサンプルを掲載します。
メリットばかり書いてきましたが、デメリットもあります。
例えば、ダイナミックレンジが広いと言っても、ハイライトを飛ばさずシャドーを潰さないような設定なので、どうしてもメリハリにかけます。まぁ、これも好みかも。
それと各ソフトを連携させる場合、仮想メモリ上で受け渡しができると、スピードも早く余分なファイルを消す作業も無くなりますが、Photomatix Pro 4 で作成した画像は、一旦ハードディスク上に保存しないと Photoshop に渡せません。
そうそう、前回までは Exposure にて最終仕上げをしていましたが、今回からその処理が省かれました。これは、合成方法を「露出合成」から「トーンマッピング」に変更したことにより、彩度が向上し補正する必要がなくなったためです。
とまぁ、こんな感じで終了ですが、良かったらいろいろと試してみてください。